絵巻切断―佐竹本三十六歌仙の流転無料ダウンロードkindle

絵巻切断―佐竹本三十六歌仙の流転

strong>本, 井上 隆史

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によって 井上 隆史
3.6 5つ星のうち3 人の読者
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大正八年、年の瀬も押し迫った12月20日。東京品川、三井財閥のドン益田孝の御殿山大邸宅に40人余の男たちが緊張した面持ちで待機していた。王朝絵巻の最高傑作ー「佐竹本三十六歌仙」上下ニ巻は、すでに別室で経師屋の紙切り包丁によって37の断片に切断されていた。まるでポーランド分割のヒットラー・スターリンのように、また欧州の新規国境を決定するためパリに集ったロイド・ジョージやクレマンソーのように、御殿山の書院に集まったのは、新しい歌仙絵の所有者たちである。違いは、前者の政治家が権力を、後者は財力を持っていた。三井の益田、住友友純、生糸王原富太郎、三井合名の團琢磨、ビール王馬腰恭平、パルプ王藤原銀次郎、三越社長、東芝社長といった時の財界を代表する面々である。くじ引きが何度か繰り返され、かくて750年前の鎌倉期に成った「まぼろしの国宝」は37片の「歌仙切」となって大正期の大金持ちのもとに引き取られていった。本書は、NHKが昭和58年の文化の日に放映した特別番組「絵巻切断ー秘宝三十六歌仙の流転」の取材担当者が執筆したもの。歌仙切のその後の流転をたどり、現所有者をつきとめインタビューを行っている。独特の骨董屋の世界が窺い知れるとともに、明治大正期以降のちょっとした日本の実業家興亡記となっている。こういう貴重な文化財に勝手にハサミをいれることが許されるのか、ごく少数の金持ち爺さんたちの私的愉楽にゆだねておいていいものか、少々釈然としないが、所詮貧乏な庶民とは無縁な世界ではある。他日、切断に先立ち当時の古筆の第一人者であった田中親美が制作した摸写本(百組)のそのまたコピイ本(美術公論社刊)を入手した。譲ってくれたのは、秋田県在の古書店。元はといえば、秋田の藩主佐竹家に代々伝わっていたものが、大正六年密かにオークションに出されたのが佐竹本三十六歌仙絵巻流転の始まりだったから、これも何かの因縁か。

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